高トルク対応型アウトサートナットの可能性。第一工業(株)の試み

4月1日(水)、本日3社目の訪問取材は、第一工業株式会社さんです。
本社は浜松市東区にあるのですが、今日は磐田市にある新平山工場にお邪魔しました。

対応して頂いたのは、鋲螺事業部の鋲螺管理課の羽生卓矢さんと、同じく技術部開発課の山田邦男さん。
第一工業さんは、機械要素技術展には昨年に引き続き2年連続2回目の出展になりますね。

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羽生さん、山田さん、今年もよろしくお願い致します!
まず、今回出展するものについて教えて下さい。(^^)

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写真左:樹脂に埋め込まれたインサートナット(左)とアウトサートナット(右)。
    共に高トルク対応で、引っ張り強度も高い。
写真右:金色が通常のナット。銀色が第一工業さんのナット。明らかに形状が違います。(^^)v

「今回の展示会では、従来の問題点である高トルクに対応したナットを展示します。
 従来品よりも1.8~2.0倍以上、トルクに対して強くなっています。
 今世の中に出ていてるナットの中では一番強いと思います」(山田さん)

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樹脂に埋め込むナットには、どんな問題点があったのでしょうか?(゚△゚;)?

「樹脂に埋め込む一般的なインサートナットは、高トルクで締め付けると、周りの樹脂を破壊して
 一緒に回ってしまう『共回り』という現象が起きてしまいます。まずこの問題があります。
 もう一つは引っ張り強度ですね。軸力と言うのですが、ボルトを締めて行くと引っ張りの力が
 掛ってくるので、その抜けの力に対して耐えられる様にしなくてはなりません」(山田さん)

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第一工業さんのナットには、どんな点が工夫されているのでしょうか?

「インサートナットは先に金型に入れておいて、その後に樹脂を流し込む形になります。
 アウトサートナットは逆に後で挿入する形になります。そういう違いはありますが、
 基本的には八枚の羽がありまして、これが回る方向に対して止める力を発揮します。
 引っ張り強度を高めるためには、つばを大きくしたりギザギザの部分を入れて、
 抜けの方向に対して強くなっています」(山田さん)

トルク試験
第一工業さんでは、どんな試験をやっているのでしょうか?

「トルク試験と抜け荷重試験を行なっています。
 トルク試験は、固定したボルトに金属を挟んでトルクレンチで締めます。
 数値を測りながらボルトが破断するまで測定します」(山田さん)

引張試験機
「引っ張り試験は、試験機にボルトを入れて引っ張るのですが
 どれくらいの荷重かをボルトが抜けるところまで測定します。
 正確には、波形を見ながら初期破壊されるところまでです」(山田さん)

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ありがとうございます。続いて羽生さんにもお話を伺います。
羽生さん、今回は2年連続2回目の出展になりますが。(#^^#)

「前回の展示会は、お陰様で非常に好評で、今までお付き合いのなかった大手メーカーさんから
 お問合せを頂きました。今回も新たなご縁が出来ることを期待しています。樹脂成形をやられて
 いるメーカーさんや設計をされている技術者さんに特に来て頂きたいですね」(羽生さん)

第一工業さんのPRポイントを教えて頂けますか。

「例えば、実際にお客様で使われているナットをご提示して頂ければ、コンピュータ上で
 シミュレーションしてトルクや抜け荷重を数値化することが出来ます。弊社のナットとの
 比較も視覚化出来て、分り易いご提案が出来ると思います」(羽生さん)

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第一工業さんの規格外のものも対応して頂けるのでしょうか。

「もちろんお客様の要求値を満たすためにカスタマイズに対応致します!」(羽生さん)
「要求レベルはいつも非常に高くて、技術の者が苦労します(苦笑)」(山田さん)

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松下次長、第一工業さんの今後の展開の見通しはいかがでしょうか。

「弊社のナットが採用される見通しが立ったとしても、お客様の方で試験を繰り返しますので、
 正式採用は数年後の次世代モデルからになります。しかしながらお陰様で国内外から問合せが
 あり、現在も継続中です。成果が出るのが待ち遠しいと言ったところです(笑)」(松下次長)

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「ここから派生して、樹脂ではなくて全くの異業種で、かつ経験したことが無い材質にナットを
 埋め込む話も頂いています。少しサイズの大きいナットになりますが、弊社の提案した形状の
 ナットでお客様先での立ち会い試験に行く予定です」(松下次長)

今までは樹脂だけだったのですよね?新たな世界への試みですね!(#^^#)

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「これも展示会でたまたま知り合ったお客様だったのです。弊社では考えたこともない材質に
 埋め込むナットで課題を解決して欲しい旨を言われました。高トルク対応、抜けに強い点が
 気に入って頂けた様です」(羽生さん)

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樹脂と依頼があった材質は全然性質が違うのではないでしょうか?

「そうですね。今回、依頼いただいた材質は壊れるまで一切変形してくれません。最大欠陥破壊
 という独特の性質があって難しいです。樹脂の方がまだやり易いですね(苦笑)」(山田さん)

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恒例の「展示会、頑張るゾ!」のポーズです。オレ達は、このネジで勝負だ!
右から、山田さん、羽生さん、私小吹。取材後半はノリノリのお二人でした。(#^^#)

たかがネジ、されどネジ。
アウトサートナットにも新たな可能性が出てきました。
常にチャレンジし続ける第一工業さんは、一見の価値アリ、ですよ!!(^o^)/

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