素材の撥水性検査装置。SAW&SPR-Tech有限会社の世界初。
「実に、興味深い!」(TVドラマ「ガリレオ」の湯川博士風にお読み下さい) (^^;

SAW&SPR-Tech有限会社の技術部長、松井義和様のお話を伺ってきました。

元々この会社は、静岡大学工学部の先生であった、塩川祥子取締役社長と松井技術部長の
両名がベンチャー企業として立ち上げたもの。

大学の研究室の一室が事務所で、雰囲気が「ガリレオ」みたいなのです。(^^)

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左:技術部長の松井義和氏。
  大学研究室らしい雰囲気です。(^^;
右:撥水性とは「水をはじく」性質のことを言います。
  撥水性の高い素材の上に液滴をたらすと、その液滴は表面張力の影響で
  こんな感じで限りなく球に近くなります。

レインコートや雨傘などは、水をはじいた方がいいですよね。

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接地面と球の接線の間の角度のことを接触角といいます。
この接触角が大きいほど、球に近いワケですから、撥水性が高いといえます。
「撥水性検査装置」は、この接触角を測ります。写真はモニタ。

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何が世界初かと言うと「液滴振動式」を採り入れた検査機だからなのです。
これがその根拠となる理論式です。
理系のハシクレだった私も、この計算式には、んもう眩暈がします・・・!(笑)

「モノ(液体を含む)には、固有の振動数(自由振動数)があって、これを元に接触角を
 割り出します。従来は界面を決めてカメラ画像で処理していたので、人により
 誤差を生じていたのが、誰がやってもほぼ同じ結果になります」(松井部長)

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「コンパクトだから、接地面に凹凸があっても測定が可能です。
 缶ビールのプルトップ面や、カメラのレンズの凹面でも、凸面でも
 測定できるのですよ」(松井部長)

ビールのキレ味を演出する要素の1つが、プルトップ面の撥水性だとか。 (゚△゚;)えぇ!?

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写真中央の右側が親水性の検査装置です。今回の展示会では、こちらも展示します。

親水性とは、撥水性とは全く逆の性質で、素材に液滴がべったり張り付く性質です。
接触角も低くなるので、検査方式も全く異なり「接触面積測定方式」を採り入れています。
表面が液滴に対し異方性を示す場合には、楕円のような接触状態になりますよね。

「ガラス壁面に汚れを付着させないためには、撥水性ではなく、親水性が高い方がむしろ
 良いのです。ホースで汚れを洗い流すイメージでしょうか。汚れは埃を含んだ水滴が
 そのまま乾燥するから付着するのです。汚れを付着させないためには、超撥水性か、
 逆に超親水性のどちらかがいいのです。両極がいいというのが自然界の面白いところ
 ですね」(松井部長)

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資料を持ち出し、熱心に説明してくださる松井部長。

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身振り手振りを交えて、熱心に説明してくださる松井部長。
「伝えたい!」という熱い気持ちが伝わってきますね。(^^)

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「実は一番苦労したのが、この液滴を垂らす装置なのです」(松井部長)
液滴が落着したときの揺れを光が感知して角度を割り出します。

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物には、すべて固有の振動数があり、同じ周波数のものと出会うと共振が起きるなど、
話が多岐に渡り、あっという間に時間が過ぎました。(^^)
右端の写真では、条件を変えて計測を何度も行った様子を話して下さいました。
こういう地味な努力の賜物が、成果に繋がるのだなと思いました。(#^^#)

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松井先生、長時間ご講義して頂き、ありがとうございました。

ちなみに、SAWとは「Surface Acoustic Wave」(弾性表面波)のことで、
SPRとは「Surface Plasmon Resonance」(表面プラズモン共鳴)のことだそうです。

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