CFRPの加工を真空成形法で行う。双和プラスチック工業(株)の試み

5月13日(火)、天気は曇り空。今日最初の取材先は、
双和プラスチック工業株式会社
さんです。
東名高速相良牧之原ICから、相良バイパスを海岸方面へ20分ほど下ると到着します。
車で訪問すると意外にもアクセスが良いので驚きました。静岡から約1時間です。(^^;;

双和プラスチック工業さんは、創業50年。
創業以来、ずっと真空成形法でプラスチック加工をやられてきた会社です。(^^)v

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主に対応して頂いたのは、中嶋悠裕さん。(写真左)
年はお若いですが、すでにこの会社の技術リーダーです。(^^)
手にしているのが、今回の展示物
CFRP成型品。
(写真右)

中嶋さん、真空成形法の特徴を教えてください。 (^^)

「基本的にシート成形ですが、熱可塑性のフィルムであれば基本的には成形できます。
 射出成形に比べて、イニシャルコストが安いし、小ロットでも対応が可能な製法です」(中嶋さん)

新素材CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics:炭素繊維強化樹脂)の特徴は? (゚△゚)?

「まず強度が非常に高い樹脂です。もう1つの特徴は、以前から熱硬化性のCFRPに比べて
 加工時間が短いことです。数時間~数日かかっていたところが、ワンショットが数分で加工が
 出来る様になりました。熱可塑性(CFRTP)だからこそです」(中嶋さん)

では・・・、苦労された点は? (^^;

「一般的な樹脂に比べると成形難易度が高いので条件出しに苦労しました。CFRPの基材は
 ナイロンなのです。ナイロンそのものが真空成型の素材としては今まではなかったものです。
 おそらく業界初の試みではないでしょうか(笑)」(中嶋さん)

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こちらは、ある自動車関連会社からの依頼で作成した、車に取り付ける部品のカバーです。
製品化するまでに2年かかったそうです。世界4カ国に出ています。 (゚△゚;)なんと!?

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こちらは医療向けのトレー。アメリカの大手の計量メーカーに納めているもの。
毎月数十万個出荷しているそうです。かなり柔らかくて薄くて軽いものです。
中に入るのは液体らしいです。意外です。(^^;;

ここで代表取締役の松下勝義さんにもインタビュー。(^^)
松下社長、御社のお仕事について教えてください!

「お客様が素材を指定しますし、試作の過程で色々と制限が入ったりします。
 出来上がったものだけ見ると分からないでしょうが、
 こんな面倒な過程を踏む仕事は他社はなかなか手掛けません」(松下社長)

「ですから最初からコストありきのお仕事はお断りするようにしています。会社が疲弊してしまうので。
 それよりも私たちは単品ではなく『あらゆる可能性のある技術』を売ります」(松下社長)

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左:真空成形のステッカー、中:社訓、右:真空成形の型。微細な穴から吸引する。

「成形性がいい素材ばかりではないので、それに対してどうやって成形していくか。
 型を作ったり、治具を作ったり、機械を改造したり、そうやって工夫するところが
 私たちの技術なのです」(松下社長)

「今回の展示物で言うと、普通の真空成形では出来ません。今『用途開発』の段階です。
 そういう意味では、車や航空機など用途は無限です。
 メーカーの研究開発部門の方に見てもらいたいですね」(松下社長)

御社はお客様とともに上流工程の設計開発に軸足を置いているのですね! (#^^#)
松下社長、ありがとうございます! m(_ _)m



実際の工場も見学させて頂きました。 (^^)

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左:プラスチック素材、中:全自動高速連動真空成形機、右:単発式真空成形機

「私たちが得意としているのは、0.2~2mmくらいの薄い素材(写真左)です」(中嶋さん)

連動している真空成形機(写真中)は、どんなところが優れているのですか? (゚△゚;)?

「真空成形している間に、次の素材を温めて準備しているところです。
 単発(写真右)だとそうは行きません。まあ、単発には単発の良さがあるのですがネ」(中嶋さん)

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左:工場内の様子、中:製品、右:打合せ風景を再現。中嶋さんと松下宙太郎(みちたろう)さん。

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中嶋さんとともに。「展示会、頑張るゾ!」のポーズ。中嶋さん、爽やかです!(^^)


用途開発はこれからということですので、この技術は無限の可能性がありますね。
CFRPは軽くて丈夫。アルミと同じくらいの強度、アルミの半分以下の重さです。
特に研究開発部門の方、是非、双和プラスチック工業さんのブースへ足をお運びくださいね!(^^)


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